中山獣医科病院ブログ

2018年1月24日 水曜日

【人とペットの赤い糸】

犬との暮らしで赤ちゃんの免疫が高まる? 
まさに人とペットの赤い糸


人間の体内には、常に存在している常在菌(じょうざいきん)として、善玉菌と悪玉菌がある。人間の体は約60兆個の細胞から構成されているといわれているが、常在菌の数は最近の研究では500~1000兆個と推定されている。
昔は分からなかった菌が発見されるようになり、それに伴い細菌の数も増えているようだ。
 世の中には、除菌に関連する商品が多く販売されているが、全ての菌を死滅させることはできないし、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌はむしろ増やした方が健康に良いことも分かっている。
 ペットや人が有する菌が原因で、ペットから人、また人からペットへ感染する人畜共通感染症がある。代表的な狂犬病をはじめ、さまざまな感染症があり、中には注意を要するものもあるので獣医師の先生から定期的にペットを診断してもらうことが重要だ。
 ペットは人間と比較して1年で4歳(小型犬や猫)から7歳(大型犬)年を取るので、最低年間2回から4回は動物病院で定期健診を受けてもいい計算になる。
2012年7月9日、犬が飼われている家庭で育つ赤ちゃんは感染症や呼吸器疾患にかかるリスクが軽減されるとの調査結果が、米国小児科専門誌「Pediatrics(ペディアトリックス)」に掲載された。
フィンランドのクオピオ大学病院の研究チームが、生後9~52週目の赤ちゃん397人を対象に行った調査だ。
 それによると、毎日ある程度の時間を屋外で過ごす犬が周りにいることで、生後1年以内の赤ちゃんの免疫力が高まる可能性があるとしている。猫でも同様の可能性が示されたが、その効果は犬より弱いようだ。
 研究によると、犬や猫が飼われている家庭の赤ちゃんは、せき、喘鳴(ぜんめい)、鼻炎などの感染症呼吸器疾患にかかる確率が約30%低く、また耳の感染症にかかる確率も約半分だった。
研究チームは、「動物との接触が免疫系の発達を助け、より整った免疫反応をもたらし、感染期間を短縮させるのではないか」と推論した。
 調査では、感染リスクの上昇が考えられる要因(母親による授乳や保育施設の利用、さらには親の喫煙やぜんそくなど)を除外しても、犬と暮らす家庭で育つ赤ちゃんが発症する確率は著しく減少したことが確認され、
抗生物質の投与回数も少なかったと報告している。
 さらに詳細な調査が必要かもしれないが、人、動物、環境の衛生に関係する専門家が連携して取り組む「One Health(ワンヘルス)」という考え方が世界で広まってきており、日本でも海外から専門家が参加した会議が開催されている。
 まさに、人とペットの健康は、切っても切り離せない赤い糸で結ばれているといっても過言ではない。

2017.12.8 越村義雄(こしむら・よしお) 一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。

投稿者 中山獣医科病院

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